そう、ですね。普通の兄弟喧嘩が出来るほど、第二王子が育っていれば或いは、他の道もあったのかもしれませんが......問題は王妃殿下が、所詮はブリュノー出身ではない、と軽んじられたところにある、と、私は見ています。
[ 王妃の事を口にする時、ナイジェルの表情には、どこか苦さを噛みしめるような色が浮かぶ ]
第二王子は自らの意思を示せる程成長しておらず、その後見たる王妃は余所者扱い...まともな喧嘩が出来るわけもない。
だからこそ、私は...いえマルール王国は王妃と幼い王子の復権を後押ししようとしているのです。
[ それが国としては建前であることは、互いに承知の上の話。
けれど、余所事の兄弟喧嘩に口を挟むだけの戦でもないのだ、と、苦い表情を浮かべた相手に、改めて告げてから、ふわりと笑う。 ]