[沈黙に耐えかねたのか、あの、と躊躇いがちな声が銀髪の青年から掛かる。>>22
ん、と狼たちから視線を戻すと、名を問われた。
それには答えず、機嫌良く頬を弛めたまま目を伏せてすいと顔を寄せる。
男の鼻先が、青年のこめかみ辺り、落ちる銀の髪に触れた。]
…………。
お前はこんな匂いなんだな。
[感慨深げな声は、青年にはどう響いたか。暫しの沈黙の後、角に気を付けながらすりすりと頭を擦り付ける。]
お前はこんな体温で、声はこんなふうに聞こるんだなあ。ふふ、ふへへ。
[凄いな、ほんとに生身だ。
堪え切れない笑い声と意味の不明瞭な呟きを残して、屈めた上体を起こした。]