[にわかに宿が騒がしくなる。ジムゾンの声も聞こえる。集会も騒々しい。集会に参加していた顔見知りのおじちゃんが「麓へ避難」と教えてくれた。しかしこの雪ではシモンは自力では歩けない。シモンと離れるつもりはない。シモンが避難しないなら、私も避難しない。シモンと一緒に行動する。そう心に決めるまで、時間はかからなかった。例えシモンや他の人が先に避難するように促したとしても、頑として首を縦には振らず、無理に連れて行こうとすれば泣きわめいてでも拒否しただろう。]