お前さん、ちょいとそいつを受け取りに行ってきてくれないか。
ついでにあの辺の艦を、集めて来て欲しい。
[ついそこまでのお使いを頼む口調で告げて、彼を見遣った。
口調とは別の、思慮を含んだ視線が彼の黒い瞳と交わる。]
…新型艦を遊ばせておける余裕があるほど、
敵さんも悠長じゃないだろう。
整備に入っていた艦も何隻か港にあるはずだ。
あまり日数がない。
お前さんの目で見て、使えそうなら持って来い。
[遠征の多いウルケルでは、艦隊は比較的柔軟に都度編成される。
ゆえにこうした編成命令も特別なことではないが、しかし新型艦を港まで取りに行って編成するなどやはり異常である。
しかし今はそう言っていられなかった。非常の時なのだ。]