[シモンやヤコブと話をしながら、そっと腰に提げた布袋に手を添える。先ほど届けたのとは別に、今年採れるおそらく最後かもしれないマルメロの実がそこには入っている。](あとで、オットーさんにパイを焼いてもらおう)[日々働きに精を出していて、娯楽の少ない少年にとって彼が焼いてくれる甘く温かなパイを食べるのが小さな幸せとなっていた。]