[クララもまた料理には満足してくれたようで、ディーターとしても悪い気分ではなさそうで。
クララの表情に若干の影を感じ取らないでもないが、これもまたいつものこと。日常の中においては、気にする必要もない要素。
今はともかく、昔まで紐解けば決して綺麗とは言えない身。現在の自分から過去の自分が透けて見えるほど彼女が鋭かったとしても、責めることは出来まい。
さておき。
去りゆくクララには社交辞令的に「気をつけろよ」と告げて見送れば。今度はパメラが不安そうな表情を示し、不吉な呟きを零す。]
おいおい、俺の心配性がうつったかい?別に何も起きるこたぁねえ………
[ねえだろ、と言いかけて、西の空を見ると、その表情は瞬時に緊張感のあるものに変わる。水平線の波の動き、遠くの雲の動きをしっかと見て。強く舌打ち。
真剣な調子で、低く鋭い声でパメラに言う]
……おい、パメラ嬢ちゃん。
料理代ってわけじゃねえが、ちと頼みてえことがある。近いうちにやべえ嵐が来るから、備えとけって村の連中に伝えてくれねえか。早けりゃ今夜かもしれん。
俺は舟を固定しなきゃなんねえからよ。頼めるかい。