― 私室 ―[静かな部屋にごく密やかに呪言が響く。半ば俯いた青年の真剣な目の先には、石の結晶のようなものがある。───ぱりん!青年の手元に、ごく小さく鋭い音が響いた。欠片が白い指に赤く筋を刻んで机上に散らばる。傷みより、その結果に青年の表情が曇った。音にならない息を吐いて、背筋を伸ばす]