[リオレ島西での遭遇戦と比べれば、相手からの攻撃は幾分弱いものだった。
その理由は――自軍の防御よりも援護に主軸が置かれているためだが、それなら足元を掬ってやろうと、水雷艇はナハティガルに食いついた。
ひらり。踊るような軌道で回避行動を続けるナハティガルを、次々とパートナーが入れ替わるダンスのように、3隻の水雷艇が一呼吸の時間差をずらして突撃する。
敵艦の副砲が至近距離で吼える。
甲板に孔が空く。
黒煙。]
『機関部損傷! 出力半減!』
[悲鳴にも似た怒鳴るような報告を浴びながら、舳先を相手に向ける。
水雷と敵艦との距離は、まだ遠い。
あと少し…]