[屠殺場さながらになった書斎、少女は何冊目かの本を投げ付けようと、一冊の本を手に取った。その時。がこん、どこかで何かが動く音を捉えて、はっと我に返る。]……?[恐る恐る振り返ってみれば、本棚がひとつ横にずれて、人が入り込めそうな隙間ができていた。少女は状況が理解できないといった様子で何度か瞬きをして、手に持った深緑の本と隠し扉を何度か見比べた。]……怪我の功名、ってやつなのかしら。[怪我の具合は蔦(だったもの)に及ぶべくもないけども。]