[バイザーを外すと、それも机の上に置いて。
結局、机の上に残ったのは王家の指輪。それから、葉巻と携帯灰皿、シガレットケースにジッポー、バイザー、携帯ゲーム機にメモ帳だ。
こんなもの、誰がもらったっていらないだろうけれど。
サンストーンぐらいは価値がある。
それだけ置いてけぼりにして、持っていても仕様もないものを義手の中にしまい込んだ。ポイズンリングを左中指にはめなおして。
指輪はもらったものだから、最後―いいや、最期まで?まで持っておこう。]
[テオドールは椅子から立ち上がると、振り返ることなく機関長室から出て行った。]
[間違ったスペリング。]
[エレン本人に何度も訂正されたのに。]
[結局、最期まで彼女の名前のスペルは間違えたまま。*]