― 王都 ―
[さて、防衛線を王都の外に張るか、王城の側に張るか悩んだが……
悩んだ末、王城の外に張ることにした。
魔軍には粗暴な連中が多い。王都の近くには様々な建物がある。機敏なダークエルフならばまだしも、ゴブリンやコボルド、オークと言った連中を防衛に使うには、隠れる場所の多い地形は向かないだろう。
王城側に防衛線を張るよりも広く取らねばならないが、この際出し惜しみは必要ない。
弓隊を配置するのに適した見張り台も多い。人間達も、防衛を考えてはいた事の証ではある。もっとも2年前に襲撃に全く反応出来なかったことを見るに、長い平和によってその心は失われていたようだが。
そして、防衛の要所となるであろう箇所に、いくつかの魔法陣。
自分が立つであろう、陣の中央にも魔法陣を一つ。
これらは別の意味を持つものである。
これらの作業を隠しているだけの時間的余裕はない。斥候があれば、何の魔法陣かはさておき、何か魔術的な作業をしている事程度は筒抜けとなるだろう]