―前日:208号室(アルビンの部屋)― ( ……。……使える、か。 )[身の裡の半分の獣が、昏い“聲”で囁く。 王家の護り手の銀狼だった母から、獣だけでなく人間の暗殺や刺客にも対応できるよう、人間の何処を狙うべきなのかや、使い方は教わった>>3:295。だから、いざとなれば、使い方は識っているけれど…老医師はともかくとして、まだ人間を、直接に殺したことはなく――…。微か震える指で、ナイフの方だけを、赤いコートの、深めに作ってある内ポケットに、そっと仕舞い]