[>>622力任せに弾いた幼馴染の身体は宙を舞う。それを目に収めて男は僅かに眉間に皺を寄せた。
もう一本の剣を使って力の向きを修正して壁に着地し、脚力で此方に飛び掛かってくる幼馴染の姿は、さながら獲物を狙う肉食獣のようで。――油断すれば喉を食い破られるだろう。
×の字に組まれた両手に握られた大剣と長剣によって放たれる一閃に対しては、左上から右下に向かって斜めに戦斧を振り下ろす事で応じ。
リエヴルの右手に握られた長剣は無防備になった男の左肩を斬りつけ、深紅の花が咲いた。]
ぐ…っ。
[走る痛みに顔を顰めつつも、男は後ろに一歩分飛んで戦斧を握り直し、相手の隙を窺う。]