[応接室はさきの不穏なやり取りを聞いていればまだ尋ねる気にならず、伝言板に予定を書き込んでから、展望台へと足を伸ばした。白く塗られた外壁は時を経たことで輝きを失っているが、日光に浮かびあがって遠目からもどこにあるか分かりやすかった。舗装道の皹割れた隙間からは雑草が方々に伸びている。透き通るような晴天。レンズに映るフレアのように網膜に映る景色が光で白く滲む。かつてこんな絵を私は見ていたのだろうか。展望台の突端に足を掛けて、断崖に打ち寄せる白い波を見下ろした。]