── その夜 ──
出来た!
[予定とは随分と狂ってしまったけれど。雑貨屋で買ってきたチョコレートにチョコペンで絵を描く作業は思っていたよりも時間が掛かった。そして、雑貨屋で買ってきたラッピングを広げれば、出来上がったチョコレートを包んでゆく。
ペンを動かしながら浮かべていたのはあの笑顔。幸せであって欲しいと願ったその人。]
わぁ、真っ暗になっちゃった……
………さむっ…
[振袖の日の余韻でほんの少しだけお洒落をする。雪の中にふんわりと広がる翡翠色のスカート。朝から降っている雪は静かに街を白く塗り潰してゆく。]
早くしなきゃあ……
[大事そうに箱を抱えて、ブーツで雪を踏みしめながら歩いてゆく。]