[――そして主は、己の許に帰って来た血に見向きせず、 馬の後肢が毛足の長い絨毯を踏む音を聞いた。 自分の分身、声は掛けない。 掌を差し伸べれば、たちまち赤い液体として吸い込まれ消える][閉じたままの榛は、眠る、と言うより、 気を失うと呼ぶべき昏睡だった。 あるいは、このまま目を覚ます事がないとしたら。] ―――― (最後まで、助けてくれて)