― ある晴れた日 ―
[港町のアパートは、壁が白くて、大きな窓からは海が見えて、とても気に入っていた。
それでも、ゲルトが一言「行くよ」って言えばすぐにこの街を出られるように、家具も大きな荷物も無いから、二人でごろごろ転がれる位広い。
『人狼騒動』と呼ばれるものに自分を巻き込まないように、とゲルトが考えてくれている事は、事あるごとに感じていた。
でも、その時、って言うのは、いつか突然にやってくるのだろう。
だから、僕は、いつでも精一杯に彼を愛するんだ。
僕らの命はいつか唐突についえるかもしれないから。]