― 回想/出会った日 ―
[ 懐かしい日の話。
ふとした思い付きで声をかけたら
大袈裟に声を上げて>>64
壁からぽてりと落ちるものだから
ついくすくすと笑いながら
揶揄い言葉を口にしたのだけれど。
よくよく聞いてみれば
変わった理由を口にするから>>65
きょとりと目を瞠って少し考えて。 ]
… それならボクも連れて行って?
二人なら外へ出るのなんてすぐだよ。
[ 本に書いてあること。という言い方は
外に出たことがない故だ、と
世間知らずの少女にも漸く察しがついて
けれど、引き留める分別は持っていず
退屈していたところでもあったから
一緒に行こうと拒まれなければ手すら引いて
壁の向こうに広がる街へ二人で駆けていった。 ]