ー羊の見る夢ー
[夜半。静かに身を起こす。
左手にはプロテクター。腰にはコンバットナイフ。
サイレンサーをつけた愛銃を吊るし、気休めに胸当てをつけた。
指定された書庫へ向かう。
徐々に濃くなる、甘い香り。]
『フィオン、なにか食べたばかり?なんだかいい匂いがする気がするのだけど』>>1:53
[今思えば、あれは発症者特有の症状だったのだ。
気づくのが早ければ…と思うが、仕方がない]
(顔に傷つけたら悪いしな。お腹蹴るのも女の人にどうかと思うしな。…延髄狙えるかな)
[現実逃避でしかないとわかってはいるが、つい考えてしまう。
発症者に生身の人間が立ち向かうのに、そんな余裕なんてないはずだけど]