[まず口にするのは、後継者としての習わし。]
歴代の王はフォールデン総督の言う通りに、後継者は国軍を任せ統括を覚えさせながら国内外に次期後継者だと認識させる事を習わしとしていた。
故に私もその認識をしていた上に、父上は様々な重要な場面に私を同席させていた。
その意味は何なのかは分かる者は数多く居る。
[習わし通りであり、実際先代の王は重大な場面では必ず自分を同席させている。
父はそれは国内外に問わず自分を共わせる事で後継者と認識させて来たのだ。
それを紙一枚で覆すのは些か不穏を感じさせるというもの。]
父上が亡き今、この様な形で決めるのかと真意を知る術も無く確かめようが無い。
それに、その文書の真偽を疑う声がある故、文書が本物か確かめる必要があるのだ。
急に王が逝去された今、王の死の真相と同時に文書の真偽の確認をしなければならぬ。
もしその文書が本物である、と確認出来れば私は王の御遺志として弟の即位を認めよう。
[此処まで話し一度この場に居る者達全ての顔を確かめる様に見渡し。
ゆっくりと口を開き、力強い声を上げ]
私は第一王子として、正当な王位継承者として王位に就く権利を主張するのと同時に。
先王が遺したとされる文書の真偽が確かめられない現在、ウェルシュ・ファン・ラメールの即位を認めないとする。
[一同に宣言をすればまた喧騒が起きるかも知れない。
本来ならば早めに王を決めて即位式を進めなければならないのは重々承知してる。
が、正当な王位継承権を持つ者として、不穏さを感じる文書を認める訳にはいかない*]