[黙々と作業を続ける銀髪の青年はそのままに。ガートルートは手元の軍帽をくるくる回して、傍の狼に被せる。]
シヴ、目がきんいろだ。
どした。怒ってんのか?
[片手で鼻先やら顎やらを擽ってやると、シヴと呼ばれた狼は心地良さそうに金色の目を細める。
次に開いたその双眸は、氷を閉じ込めたようなアイスブルーだった。]
…ン?ああ…っはは!氷華のか。アレも相変わらずと言うか…
お前は寒い国の獣なのに、酷えよなァ。
[どうやらシヴと呼ばれた一匹は、異界門の前で四君子が一華──柊の氷華に向けられた視線と言葉>>0:155にご立腹らしい。
氷華は生き物の体温を好まない。ゆえに、その嫌悪は詮無いことではあるのだが。]
まァ、な。
俺も寒いのは嫌いじゃない。嫌いじゃない、が──アレの治める一千年は些か寒過ぎる。
[当たるようなら、全力で潰そうか。
喉奥低く嗤って、今一度シヴの顎を撫でやった。]