さて、と。
お仲間とはぐれてしまいましたが大丈夫ですか?
助けに行っても構いませんよ。
[茨の要塞と化した場所で、右腕から呪を纏う雫が零れ落ちる。
地面に染み込む度に細い蔦が生えてくる様子は、何とも異質なものだっただろう。
それらは傷口の上に絡み、腕を締め付け止血を施す。
そのまま腕を持ち上げれば蔦が千切れ、緑の輪だけが残った。]
私の死に方は決まっているんです。
貴方たちに殺される訳にはいかないんですよ。
嗚呼それと、『城主は二度殺さない』も条件ですねぇ。
それさえ守っていただけるのであれば、貴方たちの邪魔をするつもりはありません。
どうです。悪くない相談でしょう?
[右手の爪は元に戻り、赤く染まった袖だけが戦闘の痕を残している。
その手を伸ばし、ゆるりと微笑んだ。
首を傾げ、彼の返答を待つ。]