― 宴の前 ―[馬を操る騎士は、見事に手綱を操って、少女も自分も落馬を避けた。>>72これは楽しい。見上げた彼が、こちらを認めたのだろう。剣を抜こうというそぶりを見せる。立ち向かってくるつもりだろうか。やはり楽しい。外套を元の形に戻し、闇の帳をほどきながら、馬の前へとゆっくり降りていく。] 私は檳榔卿と名乗るもの。 貴君の名をいただきたい。[胸に手を置いて優雅に一礼し、彼の腕に収まる少女へ微笑んでみせた。*]