ハァ…ハァ…あとちょっと…。
[山奥の村へと続く道を、ボロボロの身なりをした女が脚を引きずりながら歩く。彼女が目指すは、【夢現の村】。青い衣はところどころが破れ、血のにじんだ白い素肌が覗いている]
アッ!
[足場の悪い夜の山道につまづき転んでしまった彼女は、起き上がることが出来ずにそのまま夜空を見上げる。]
「このままこの力が途絶えてしまうなら…」
彼女はそう呟くと、そっと目を閉じその右手から光を放つ。その光は弧を描き…そして村の中へと吸い込まれていった。
「あれは恋人を結びつける力。今の私には、参加者として試練を耐え抜く力が無い…。でもどうか…地上から愛の力を途絶えさせないで…。」
誰にともなくそう呟くと、愛の力を無事引き継げたことで安心したのだろう、道端でへたり込んでしまった。