― ローゼンハイム個室 ―
ま、……待って。
[苦しげに、どうにかといった風に声を出す。
部屋の奥まで踏み込んでいく勇気はなくて。
ただ、サシャの袖を引こうというように、そちらへ向けて手を伸ばす]
く、口を挟むべき場面ではないのかもしれないけれど、少しだけ待って。
……サシャを、子供をこんな風に、囲んで追い詰めるようなことしなくたって……!
[ふるふると首を振る。
サシャが嘘をついているなんて思いたくない。
そんな感情的な面が先に立ってはいるが]
これでは、言おうと思ってたことだって言えなくなってしまうでしょう……!?
それは誰にとっても、いい結果を生むとは思えない。