――廊下――
[訓練場へ行く途中だったのか帰り道か。
気落ちしているようにも見えるカシムを見かけ、部下に待つように告げて、声をかけ近づいた。
彼は、話題になっているサシャと同室だったはずだ。]
カシム。……サシャのことだが。
昨晩彼女は部屋の外へ出かけていたと聞いた。
どんな様子だったか教えてもらえないか。
[サシャの名を出したときのカシムの反応は、どんなものだっただろうか。
彼が話にくそうにしていれば、部下と目配せをして穏やかな声で話しかける。]
それとも寝ていて、覚えていないだろうか。
それならばわからない、で構わない。
[言いたくないなら言わずに済むように先回りをして、カシムが正直に話してくれれば部下がその内容をメモし、新しい情報がなければ礼を述べて別れるだろう。
問いかけがあれば足を止め、答えられる内容ならば返事を返した。]