―書斎―
[扉は思いの外、軽かった。整った書斎に佇む白髪の主人は、いつも以上に怪しげな雰囲気を増させていたように男には思えた。傍らには、先ほど自室で見た小柄な鴉。]
嗚呼、お待たせしてしまいましたか。
[冷ややかな謝罪。先程、部下や他者へ向けたものとは一線を越えた別のもの。座ることを促されればそれに従いつつ、足を組んだ。]
……はっ。白々しい。
[嘲笑の中に混じる、不安、孤独、負の感情が混じりあった何か。強気な口調の裏にある虚勢など、今なら誰の目であっても見破れてしまうだろう。]
用なんてひとつだけだ。
[テーブルの上にぐしゃりと曲がった羊皮紙を叩きつけた*]