[ジムゾンが心の重荷も半分引き受けてくれたような気がして、足取りは最初よりもずっと軽い。宿屋に到着後、レジーナを支配人室へとの提案>>73へ、首を縦に振った。]
俺もそうしようと考えていた。この大雪では、いつ葬儀を出せるか分かったもんじゃない。自分の部屋なら、レジーナも安心できるだろうし。
……だがその前に。
[ちょっと時間をくれと言い残して、女主人の体を一旦下ろす。
脱衣室から予備のタオルと厨房から温かい珈琲を三人分手早く用意して、配膳用の手押し車に乗せて皆に勧めた。]
すっかり体が冷えただろう、遠慮なく使ってくれ。
[ある意味現実逃避かもしれない、だが思いついたことを片っ端から実行していると気が紛れる。雪を見た経験はあっても、生まれ育った村が一面白に覆われると、まるで見知らぬ土地に突然放り出されたみたいで、戸惑いが隠せない。
寒さが体に染み渡ると同時に、胸の奥からじわじわと何かに侵食されそうで、どうにも落ち着かなかった。]
体調崩したら大変、だからな。
[無理矢理浮かべた笑顔は、どこか不自然で引き攣っていた。*]