──…ふ、ふ。
[ぽかん、と一瞬浮かんだ呆気に取られた表情>>11に、ちょっと気持ち悪い感じの笑い声を一人漏らした。]
『 ガァト、ちょっとほんとにきもちわるい 』
『 ガァト、まがおのれんしゅう、いみなかった 』
[足元に蹲った二匹のハイイロオオカミが、ちょっと呆れたような声を出す。
兄弟、そりゃないぜ。声に出さずに唇を尖らした。
だって、仕方が無い。この瞬間を待ち望んでいたのだ。ちょっと格好付けようと思って真顔を保つ練習もした。確かにした。
成果は実らなかったが、別段真顔でなくても格好良い筈だからこの際構わないだろう。
銀髪の青年は、それ以降表情を変えることもせず、請われるがまま手を伸ばして髪を解いてくれている。
初対面には近過ぎるであろう、距離。
目の前の彼は知る筈もない。
向かい合う緋色の獣が、このようにいとも容易く己の懐に他人を招くような