[名前を聞いた後、一族の長である父の元へと連れて行って。
長との相見も滞りなく済んだ青年は、どれ程の期間滞在していっただろうか。
5年も前のことだから明確には覚えていないけれど、郷から出たことの無い自分には見知りする事の出来ない体験をしてきた青年への憧れは、忘れ様もない。
それまで彼が訪れてきた旅の話を、彼が話せる限りで良いからと聞いて自身の冒険心を満たしたりもした。
最も、こちらが彼の話を聞くばかりではなく。
この郷に来たのだから、氷人族に興味が無い訳ではないだろうと自分の知る限りを彼に話した]
でさ、俺も父様と同じ赤色の天命石を持ってるんだ。
赤色自体珍しいらしいんだけど、親子揃ってってのは本当に珍しいらしくて一族中で騒ぎにもなりかねないんだってさ。
だから、俺の天命石はあんまり一族のヤツに見せるなって言われてるんだ。
うちに風呂があるのも、その為なんだって。