[父親も母親も普通の鳥翼の持ち主だった、らしい。
ただ翼の種は違っていた為、半端な娘には半端な羽しか宿らなかった。
それでもよたよたとながら、空を飛ぶことは出来――]
―――ローレル。
[いつのまにか、記憶の散策もしていたらしい。
>>78呼びかけられた声に意識は引き戻されて、ぎしりと羽を軋ませながら、手を差し出したままの恰好で、体ごと少女へと向き合う。
まだどこかぼんやりとした様子なのは、素の性格なのもあるが。]
うん、散歩。
貴女も、散歩?
[いつも彼女の明るい様子は、虚ろな目にも届いているようで。
おそらく散歩なのだろうと理解しながらも尋ねるのは、完全に他者を拒絶しない心の現れでもあったが。]
何か面白い物は見つかった?
[いつもは答えるばかりの口は、珍しく尋ねる言葉を落としていた。]