[マルメロの蜂蜜漬けが運ばれてくれば、自然と笑顔が零れる。
働くことは、少年にとって苦ではない。
むしろ、自分が働いたことがこうして村人達の生活に関わっていることを見ると、幼い自分でも役に立てているのだと嬉しくなる。]
ありがとうございます。
いただいていきます。
[熱々のお湯割りをシモンから受け取り、ふーと息を吹きかける。
ふわりと漂うマルメロの香り。
ジャムを作って貰ってオットーのパンとあわせて食べるのもいいが、
残った果物であとでパイを作って貰うのもいいな、などと
少年らしい食欲としばし葛藤していた。]