─ 回想/12年前 ─
[そうして3年の月日が経って、気が付けばイェンスさんからイェンスくんへと呼び方も変わっていって。
その日も、父親と共に来ると教えられている日が近づいていたから新しく覚えた型を試してみようなんて楽しみにしながら日々の日課に励んでいたのだけれど]
おばあ様?
どうか、したの?
[いつもなら母と共に家事をしている時間なのに、何故か祖母が子供たちの集う棟に来た。
手には何か長物の入った袋筒、表情は険しく私の腕を掴んで]
「パメラ。今すぐこれをもって、皆をあそこに連れてお行き。
あんたが知っている誰かが迎えに来るまで、けっして皆外に出させないようにね」