――夜道――
[集会所を出て、夜の道を歩く。裏手の木を一瞥すれば、闇夜に紛れ、鳥たちの姿は既に見えない。
――命を落とすような、そういった類の試練ではない。]
落とすのじゃなくて……交換、だったら、それでもいいんだけど、ね。
[人気のない夜道を歩く。もう休もう。そうして、明日議論に挑むべき。
けれど――。
ぎり、と歯を噛みしめ、宿への帰り道から逸れる。向かう先は集会所からも宿からも離れた、人気の少ない村はずれ。
木々のざわめきが、夜の静寂を擽る。
鞄を地面に置き、頭上を見あげた。
闇に覆われた夜空、光る星々。このような状況でもなければ、そのさまを存分に楽しめたことだろう。ここは、いつもより少し空に近い]