― 回想・数年前 ―
[数年前、獣の被害の調査に出た時に発見した男。
鳥が騒ぎ、何処かで狼の遠吠えすら聞いた。
何事かと駆け付けた場所に倒れていた男の
血の匂いが森の獣達を騒がせていたようだった]
おい、君! しっかりしろ!
[息はあったが、このまま放置していると
間違いなく森の獣の餌になる。
慌てて空に向けて猟銃を撃つと、硝煙の匂いに
森はざわめいたが獣の気配は遠のいて]
どこの誰かは知らないが、
その身体でこの森や山を越えようなんて無茶だ。
[こんな所で死人なんて出て貰っては困る。
その一心で彼を連れ帰った]