峡谷の北の端に、地元の人間しか知らない、馬でも降りられる獣道がある。一歩間違うと谷底に真っ逆さまだけどな。[ アイリに向かって、脅すように言いながら、俺は慣れてるから安心しとけと、笑い、崖上をショートカットする形で、魔軍の後詰めの位置までを駆け抜ける ][ 崖を降りてからも、あまり手間はかからなかった。鉄底族より前にでている亜人達は、まとまりに欠ける寄せ集め感が強く、馬を見て襲って来る者も居たが、槍を携えた男と、銀月の大鎌を揮う娘の敵ではない ]