―昨晩:自室―勢いの止まるのに合わせ、見開かれたのは。琥珀に薄く血の赤が透ける、朱金の眸。さらり、艶やかな月色の毛なみ。 ふさり、ゆたかな尾が揺れる。[“仲間”の姿になった友人に、喜んでじゃれつく白い犬。鼻先での獣同士の、行ってきます、の挨拶をして。まさか、宿内で惨劇が起こるとは思いもせずに、 月色の獣は―――…凍れる白銀の闇に消えた*]