[きっとその場にい合わせてゲルトの姿を見たのならば、取り乱して何も考えることは出来なかっただろう。
幸か不幸か、女は死体を見ていない。
だからだろう。どういうことなのか理解しようとする意識は保たれていた。
憔悴しているオットーには聞けないだろう。
激情に駆られているアルビンにも聞けなかったはずだ。
と、なればジムゾンかフリーデル。一度カタリナを見る。
怖がらせたくはなかったから彼女が酷く怯えているのならば、誰かに彼女のことを頼んだことだろう。
彼女が自身と同じように話を聞こうとするのならば、なるべくそばに寄って安心させようと努めたことだろう]