― 魔獣の領域 ―[各自各様の奮戦により、焔の狼たちは数を減らしていく。最奥に伏す漆黒の巨狼は口元を歪めながらその様子を眺めていたが、不意に、身を起こして咆哮した。応じるように、焔の狼たちが姿を消す] 『思ってた以上に、やるみてーだなー』[直後に響いたのは、まだ若い男性のものと思しき声。その声に、青年ははあ、と大きく息を吐いて漆黒の巨狼を見る] ……空と地を結ぶもの、その号と想いを継いだ者を甘く見られるのは心外なんだけど?[飛んだ突っ込みに、狼が笑うような唸りを上げる]