― 軍議後/ベルガー島 ―
[王子を呼び止めた男は懐から薄桜の結晶を取り出す。
それは男がいつも使うものではなく、親指大はある十面体の結晶]
これは、私が魔法の触媒に使うものなのだけれど…。
この結晶は貴方が持っていて欲しい。
これは、王らが残した最期の想いだから。
[王都陥落のあの日、男が掬い上げた想いの結晶。
対たるもう一つの結晶は手元に残したが、正の想いたるこの結晶は
その結晶には貴方や民の無事を願う想いが籠もっている。
差し出がましいかと思ったけれど……
その結晶には防御の呪を込めておいた。
万一の時は、貴方を護ってくれる。
[施した呪の内容を告げ、男は王子の反応を見遣った*]