[けれども、ちょうどそのとき、移動しようとしている“もう一人の”青年が去っていく後ろ姿が目に留まった。そのとき、初めて、目の前の女将の姿が自分の記憶の片隅に存在している“かあさん”と違うような気がしてきていた。(あれは俺……なのかな?)混乱ばかりが頭を占めて、整理するのに時間がほしくなった。]