人狼物語−薔薇の下国

471 overlap memory/重なる絆(続)


尉官 ドロシー

[娘の亡骸の前に膝をつき、男は哭きました。
色を変えた服に額を擦りつけ
冷たくなった頬を何度撫でても娘は目を覚ましません。
抱きつく腕はすでに失く、砕かれた喉が父と呼ぶこともありません。

どれくらいそうしていたのでしょうか。
空に冴え冴えとした月が昇るころ
男は空ろになった娘の亡骸に自らの血を数滴落として
月に宿る我らが神へと祈りを捧げました。

―娘が生まれた時のように
――妻に狼を殺す力が宿った時のように
―――愛する者の命を自ら摘み取った時のように。]

(78) 2017/02/08(Wed) 23:59:19

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