[生きてて良かった、と。言われればひょいと眉を上げてみせるだけに留め、] おう、そうだな。 ――今度は、ハンカチを貸さなくてもいいようにしてくれ。[向けた背中へかかった声にそれだけ返して、扉の閉まる直前、煙草の煙の残香をその場に残し、隔てられた扉の向こうで、一息を吐いたのだったか。*]