人狼物語−薔薇の下国

178 薄暮の海―CLASSIFIED MISSION―


参謀 リヒャルト

[少女はへなりと眉尻を下げ、泣き出しそうな顔をする。
愛犬もそれをみてさすがにまずいと思ったのか
くぅん、と甘い慰めるような声を出し少女を見詰めた。]

 ――…大丈夫、こんなことじゃ泣かないよ。
 ほら、いいこにして、オズ。

[潤み湛えたままの空色の双眸が弧を描き笑みを形作る。
わう、と愛犬は一鳴きして少女を帽子の落ちた場所まで先行した。
駆け寄る一人と一頭に気付いたのか誰かの手が帽子を拾い上げる。
傍に寄ると少女は顔を上げ、拾った彼を見上げ]

 すみません、それ、……

[私の、と言い掛けたくちびるが動きを止めた。
息をのみ、琥珀色の双眸をじ、と見詰める。
ぽろぽろと空色の眸からは雫が止め処なく零れだして]


[少女は愛犬にあげた大事な名を、音なくくちびるのみで綴る。**]

(77) 2014/05/05(Mon) 20:41:25 (renka)

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