アタシは、……正直言って、まだわからないんだ。
一族が抱えてたものだって……島から出られないとか、他の種族にいい顔されないとか、嫌なことはそりゃあったけど。
それに対して、どう怒っていいのかも、本当はよくわかってない。
[想いを潰し、我慢してきたのともまた違う――きっと、向き合わずにここまで来ただけだ。
それは世界の中枢たる存在との対比によってこそ、気付かされることだったのだろう]
あり、がとう。
文句とかそういうの、形にするまでに、まずは知らなくちゃいけないことがたくさんあるんだと思う。
だからいつか、言いたいことが出来たら――また、聞いてもらってもいいかな。
[言いながら、ごしごしと目元を擦る。
格好いいとは言い難い姿だろうけど、不思議と心は軽くなっていた]