[寝台で寝転ぶ弟の視線に何か痛いものを感じたが気のせいだと見続けて、窓の隣の壁に背を預ける
なるべく、感情を殺して冷静に話の内容を語れるように努めよう。
こんな風に能力の告白などするのは初めてだな]
まず、先に言っておくと私は幽霊の存在を見えたことも声を聞いたこともない。
一般的に霊能者と呼ばれる類の人間ではない……。
…が。私は魂の存在を感じやすい霊媒体質を持つ人間だ。
[普通じゃないことを知られるのは恐ろしい。
人と違うということは要らぬものを惹き寄せるという強迫観念。
元は知りたくもないのに魂を見ることの恐れが成長し、私は見るために生まれてきたのか?という疑問へ変化するまでの間に生じた概念。
それは彼の精神を縛り付ける鎖であり、苛む茨でもある]