それでね、今度、草原の国で
羊族と狼族を登場させようと思うんだけどさあ…
[白鳥のペンをくるりと回しながら、ゲルトはヨアヒムに相談する。主人公の少年たちが、様々な不思議の国を旅する子供向けファンタジー冒険小説『虹の石の秘密』の作者、ヴェルナー=バルト。それがゲルトが原稿を投稿する時に使ったペンネーム。
次に行く国は、捕食者である狼族と、被食者である羊族が対立する草原の国で。その中で、友達になってしまった羊と狼の友情と、国のいざこざと。そういった話を書くつもりらしい。]
……ああ、この半獣人の羊の子は君がモデルだよ、そりゃあ。
[気づかれたか、とくすくす笑った。
まだ構想は途中だが、最終的には羊と狼の子らは、仲良く暮らせるようになる、という結末を予定している。理想と幻想の物語に、そんな願いをこめて。]