― 礼拝堂 ―[界賊らが来る前か来た後か、はたまた、別の場所であったか。礼拝堂はしんとして広く、清浄な空気を湛えていた。そこに立つ、ひとつの人影を除いては。]ジークムント・フォン・アーヘンバッハ。私はやはりお前を殺しておくべきだった、ということだな。[銀の髪。白の軍装。記憶に違わぬ後ろ姿へと声をかけ、ゆっくり構える。いつの間にか手に握っていたサーベルを、顔の前に立てた。決闘の前の、ささやかな儀礼に。]