――――……ぐえっ
[悠長に考え事をしている間にも女性の躰は弧を描き
ダーフィトの鳩尾に派手にぶつかった。
頭部が当たったのか、石が落ちたのかも分からないほど、痛い。
潰れた蛙のような声が出た上、思わず涙目になった。]
だぃ じょうぶ、か?
[痛みに顔を歪めつつ、柱のお陰で倒れることは防げたため
女性へ手を差し伸べて、]
アンタも取り残され組か。災難だな。
[手を取ってくれたにしろくれないにしろ、そう口にした。
よくよく顔を見れば、レストランの前ですれ違った人のようである。
髪を束ねる鮮やかな紐が印象に残っていた。]