[警戒しながらも、踏み込んだ右足に力を籠め、爪を反転させる。復路でもまた切り裂こうと爪を振るったところで、背後から聞こえる風を切る音に気づいた。] ……面白い。[目の前の男に攻撃することを諦め、代わりにこちらへ晒された傷口付近へと肘と二の腕を叩きこむ。別に傷口を狙う必要はない。趣味だ。僅かでも触れることができれば、後は己が筋力で身体を反転させる。]